時計業界にもSDGsの波が確実におしよせている昨今、各社メーカーが高い技術力を持って「再生」を軸に製品開発を行っています。
時計と言えばスイスを連想されると思いますが、やはり世界中でもヨーロッパ文化は先を行っており、ここまでの10年は地球環境保護の団体などのスポンサード、コラボレーションモデルによる収益の一部を還元するなど各社メーカーが寄付という形で行ってきました。
現在は間接的なサポートではなく、「SDGs」とコンセプト化され明確になったために、企業行動は第2ステージに入ったように感じます。
早い段階でブライトリングなどが、海洋汚染の原因となる漁師が使う網などの漂流プラスチックを再生しナイロンストラップを製造、また、専用の時計ボックスにも再生資源を活用する等、徹底したモデルの製品化を行っていました。
そんな中、今年発表されたモデルの中に気になったモデルが2モデルありました。
ひとつはTOM FORDの「オーシャンプラスチック タイムピース」、100%海洋プラスチックをケース・ストラップに採用しており1本の時計で35本分のペットボトルに換算できるプラスチック廃棄物に相当します。
ラグジュアリー業界を牽引するようにファッションブランドであるTOM FORDが先駆け的に発表したモデルはトム・フォード自身が顧客へ向け「倫理的な贅沢はすべての中で最高の贅沢です。」との呼びかけと共に発信されました。
自信を着飾るアイテム、またはアイデンティティの象徴として機能する「時計」、実用性もさることながら現代のお洒落は身に着けるもののメーッセージ性も必要とされる世の中になりました。https://www.tomford.com/tom-ford-002-ocean-plastic-watch/TFT002-023.html
もうひとつは、PANERAI、「サブマーシブル eLAB-ID」素材の98%がリサイクル素材で出来ている驚異的なモデルです。
何から何までリサイクルしているようで、夜光塗料であるスーパールミノバや脱進機に採用されているシリコンまで、ケースやストラップのみならずメカニカルな部分までとことん「再生」にこだわって作っています。
とにかくすごいモデルなのですが、やはり技術的には苦労が多い様で価格は745万8000円で限定生産30本という、いわゆるコンセプトウォッチ的なものになってしまっています。
技術革新の初期段階であるがゆえの高コストだと思いますので、願わくば時間の経過と共に進歩し、生産コストが低くなることで広く使われる技術になる事を待ちましょう…
パネライはこの技術を独占的に社内機密にせず公開しています。
環境問題に対する行動が、自分たちだけでなく多くの人が行うことで改善されることをよく分かったうえでの英断だと思いました。https://www.panerai.com/jp/ja/collections/watch-collection/submersible/pam01225-submersible-elab-id.html
「SDGs」事態は2015年に採択されてましたが表面化してきたのはつい最近に感じています。
各社メーカーの開発も技術進歩と共に具現化されてきたのかもしれません。
全世界的な流れ、いわゆる風潮とそれに見合うような技術開発の進歩。人間の行動力のあり方がまだまだ捨てたものではないなと、ひとり思う2モデルの登場でした。
「TOM FORD」、「PANERAI」共に新宿店、表参道店にてお取り扱いがございます。