先月10月にブランド初となるSSレギュラー製品を発表して話題沸騰中のA.ランゲ&ゾーネ。
これまでの製品には貴金属のみを採用してきたランゲがSSを発表したことは大きなニュースでした。
ここで、何度かにわたりランゲのブランド入門的なおさらいをしたいと思います。
今回は3/4プレートについて。入門編ですので、ベテラン様はスル―してくださいね。
A.ランゲ&ゾーネの大きな特徴の一つ、3/4プレート。
それは、機械の表面のおよそ3/4を占めているこのプレートを指します。受板(うけいた)というパーツ。
受板とは時計の輪列を支える、輪列に対して蓋側の板のことです。反対にベースとなる板のことは地板(じいた)と言います。
写真は参考(サクソニア手巻き)
スイスの時計ではこの板は分割されることが多いのですが、ランゲはこの輪列を一枚の板で支えます。
動力となる主ゼンマイ(1番車)~2番車(時分針の軸になります)~3番車、そして4番車(秒針がつきます)これらすべての輪列を「せーの」で一枚で抑えますから大変です。だって、歯車の芯なんてコンマ何ミリの世界です。それこそ、各歯車は縦方向のあがきの調整も必要です。ですから、これらを一枚で抑えることは大変難しいのです。
しかし、そうすることで何が得られるのか。
輪列全てを一枚で抑える事によりまず剛性が増し安定性が向上します。内部の潤滑油にとっても理想的でしょう。より油が乾きにくくなる。
また、輪列に塵などが混入するリスクも減ると思われます。
A.ランゲでは1868年以降、 3/4 プレート を 採用します。A.ランゲさんが試行錯誤のうえ約25年以上かけてたどり着いた理想的な形状の受板なのです。写真は古いA.ランゲ銘の懐中時計。受板は3/4にまだたどり着いていない。
ランゲの時計は全てが2度組み立てられることもよく知られることです。が、言い換えてみますと、この3/4プレートのお陰で「一度で出来上がるわけがない」のも事実です。そう、一時組み立てで「既に」「何度も」組み上げられては分解され、また組み立てられて分解して・・を繰り返しているのです。ちなみに一時組み立ては作動確認とされています。この作動確認には精度の調整まで含まれます。作動チェック、精度チェックまで行われ、ここで改めて分解され仕上げが施されるのです。
本日のまとめ
「ランゲの時計は、2度以上、何度も組み立てられている。」
超、初級編にお付き合いいただき有難うございます。
ご紹介のモデルは「1815Up&Down」 当店の人気モデルです
Ref.LS2344AD 234.032
記:鈴木